悠々だより

 

悠々の春景色

 4月のイベントはお花見とお茶会でした。桜花は隣接する公園にぐるっと咲き誇り、職員の一人が奏でる琴の音にうっとりしながら、お茶の先生のご指導で職員達がお茶を点てては、利用者さんにお出しして、優雅なひとときを過ごしました。

利用者のお一人が詠まれた歌一首

「春うらら 花見の後の 琴の音が 生きる力の 糧となりけり」

■いきいきと生きる(歳はとっても昔とった杵柄は………”)

 デイサービスを利用している方々は、ほとんどが、身体になんらかの障害を持っていたりするので、自立が困難になり通所による介護サービスを受けています。でも、”昔とった杵柄”をいまでも時々発揮されるので、お世話している職員が教えられたり、はっぱをかけられたり、学ぶことが多く、「さすが!」と、感心させられるものです。

 ある日の朝の一コマですが、利用者さんが、「頭がいたいよ〜と訴えながら車イスで迎えに行った職員とともにやってきました。すぐに病院にお連れするほどではなかったのでベットに休んでいただき様子をみていました。看護婦のYさんは眼の届くところで観察しながら、他の利用者さんの健康チェックに忙しくしておりました。

 と、そこへ少し離れたところに掛けている利用者のSさんが看護婦に声をかけました。「そこに休んでいるかたのプルス(脈拍)はとったの?」 看護婦は「は〜い、大丈夫ですよ、今ねむっていらっしゃるから」と言いました。するとSさんは「寝ていらっしゃると云うけど、そのまま目を覚まさないことだってあるんだからね。」……そうですSさんは昔、病院の敏腕看護婦だったのです。

 この会話を側で聞いていた職員も思わず、「まあすごい、さすが元婦長」と驚かされました。Sさんは84歳、痴呆が少しあって、足も弱くなり杖をついて歩行している方なのです。こんな会話もほんの一部、次々とおもしろい会話が飛び交っています。

 この様に悠々の一日は人生模様が多彩に交差し、とてもにぎやかで、とびっきり楽しいですよ。

(ケアマネージャー・看護婦 遠藤 智子)

■在宅介護援助の現場から

 奥様が介護中心の病院に入院しているために、介護保険の申請手続きで悠々介護支援センターを訪れた方がいました。88歳のご主人は、家事一切をこなし、奥様の洗濯物のために自転車で片道20分かけて病院に通っていました。

 一生懸命な姿に少しでも悠々が力になれないかと、お話を伺うと、食事の支度が大変との事でしたので、週4回の夕食をお届けする給食サービスを受けて頂くようになりました。しかし、最近になって給食サービスの担当者から、一人の生活が負担になって疲労が目立っているとの情報が入りました。

 そのために悠々ではご主人と相談の上、在宅介護を受けるために介護保険の申請をしました。処がご主人は保険証をなくし、現金も殆どなく、外に出たがらないために、必要な医師の診断書が得られません。そのために保健婦と話し合いの場を設定し、往診の手配をしてもらうことになりました。

 やがて介護認定されて、サービスを利用することで今までよりも少しづつ良い生活ができるようになるのではないかと思います。悠々介護センターで問題が解決できなくても、積極的に地域社会に働きかけるで、少しでもより良い生活を手に入れられるようにお手伝いできれば幸いです。

(ケアマネージャー・看護婦 石田 好子)

素敵な在宅介護

 加齢に伴い周囲との関わりも少なくなることで家庭での生活が中心になります。その結果、今までなかったような様々な事が起こってきます。その一つとして、家庭内での生活が中心となるために、行動範囲が狭く、歩行する時間と距離が減ること、そして決まった人との会話になり、内容に変化が乏しいため、言語数と 会話の機会が減りやすく新しい事を始めようとする積極的な姿勢が少なくなりがちです。

 このような状態が長く続くと身体の機能低下につながる事が予想されます。二点目として、同じ相手と長く関わることから今までは感じなかったような細かい部分でのトラブル、意見の食い違いから精神的ストレスや不安が生じる可能性もあります。また、三点目として、一日の生活の中で喜怒哀楽の変化が乏しくなり、刺激や生きがいが少ない生活になってしまうことが予想されます。

 この様な状態を防ぐためには、お年寄りが機能低下を防ぐ機会が保障され、家族みんなにストレスが発散できる機会が必要です。例えばホームヘルパーを利用して買いものや散歩に行くこともあります。歩行することで筋力低下を防ぎつつストレスの発散ができるわけです。

 またデイサービスを利用することで地域社会に溶け込んで行くことも改善のきっかけになるでしょう。デイサービスでの友達つくり、整容、リハビリ等で意欲の増進や生活の中での変化、そして家族の負担軽減などを考えると今後につながっていく、より良い介護ができる様になるかもしれません。

 どんなに仲がよい家族でも、長い時間絶えず顔を合わせていると、相手の良い面よりも嫌な面ばかりが目立つようになります。そのために一週間の中で一日、または一日の中で少しの時間だけでも、両者の者間距離(?)をおくことが、必要なのかもしれません。両者が気持ちにゆとりを持って幸せだと思える環境をつくっていく事こそ、よい生活につながるのではないでしょうか。

(生活指導員・ケアマネージャー  三浦 聡)